アジア太平洋の販売店品質プログラム5種を1つの認定エンジンに統合
地域統括会社の販売店認定業務は、担当者1名のPC上のExcelマクロで運用されており、プログラムや市場の追加、Officeの更新のたびに停止のリスクを抱えていました。選択肢を比較検討したうえで、実際に運用する担当者を前提に業務を設計し、マクロをサーバーレスのクラウドサービスに置き換えました。現在は認定証の発行、リマインド、レポート作成を自動で行い、3年以上にわたりマネージドサービス(運用・保守)のSLAのもとで稼働しています。
1つのエンジンで運用するプログラム数
対象となる販売店数(約10のディストリビューター市場)
- 顧客
- 日系自動車メーカーの地域統括会社
- 利用者
- 地域統括会社、約10市場のディストリビューター、1,000社以上の販売店
- 範囲
- 業務プロセスの再設計・構築・本番稼働・マネージドサービス
- 期間
- 2022年に提案 → 2023年に本番稼働 → 2024年から運用・改善
- 体制
- コンサルタント、バイリンガルのブリッジエンジニア、AWSエンジニア

自動リマインドと期限通知で管理する再認定サイクル
端末へのインストール数。PC・OS・Officeのバージョンに依存しない
マネージドサービスのSLAに基づく継続稼働
認定業務が1台のノートPCと少数のマクロに依存
地域統括会社は、販売店のサービス品質や鈑金・塗装作業がブランドの基準を満たしているかを確認するため、複数のプログラムを運営しています。各市場のディストリビューターが評価シートを提出します。地域統括会社はそれを取りまとめ、合格した販売店に認定証を発行するとともに、グローバル本社へ報告します。
これらの業務はすべて、担当者1名のPC上にある3つのExcelマクロで行われていました。シートの集約、メールの作成、認定証の作成をそれぞれ1つのマクロが担う構成です。プログラムと市場が増えるにつれ、この仕組みは不安定になっていました。加えて、ほとんどのプログラムでは3年ごとの再認定サイクルがまだ始まっていませんでした。
不安定な実行環境
WindowsやOfficeの更新、PCの入れ替えのたびに、ツールが動かなくなるリスクがありました。
変更のたびに外部へ依頼
販売店や署名、評価項目が1つ増えるごとに、マクロを手作業で修正する必要がありました。
原因を追えないエラー
不具合が個々のPC環境に左右されるため、再現が難しく、修正にも時間がかかりました。
選択肢を公平に比較し、運用する人を前提に構築
まず、今後数年で起こりうる変化を洗い出しました。販売店の追加、署名者の交代、評価項目の追加、担当者の異動、PCの入れ替えです。そのうえで、これらの変化に対応できるかという観点から3つの選択肢を評価し、方式を決めました。
| 評価項目 | クラウドのマネージドサービス | Excelマクロ | マクロ+RPA |
|---|---|---|---|
| 保守性(販売店・電子署名の変更、担当者の引き継ぎ) | ●●● | ● | ● |
| 担当者PCでの運用上の制約 | ●● | ●● | ● |
| 手作業の量とエラー修正の速さ | ●●● | ● | ●● |
| 継続費用の予測しやすさ | ●● | ? | ? |
Fit-Gap分析
- マクロのロジックを解析
- 5プログラムの認定・再認定業務を整理
- ROIを含めて選択肢を比較
再設計
- 入力チェック付きの評価シートに標準化
- 認定証とメールのテンプレート
- データモデルとマイクロサービスの処理フロー
構築・本番稼働
- AWS上のサーバーレス処理基盤
- データ移行と受入テスト
- アップロード手順書の整備と地域統括会社への研修
運用
- SLAに基づくサポート記録
- 改善:販売店コード変更の自動化
- ランタイムの計画的な更新
悩みの種だった業務を、意識せずに使えるサービスへ
目的は、認定証の発行を自動化することだけではありませんでした。目指したのは、人やPC、プログラムが変わっても回り続ける業務を、地域統括会社が自ら運営できる状態です。
認定エンジンから、評価業務全体を担うプラットフォームへ
エンジンが安定稼働に入ったことを受け、現在は地域統括会社と次の段階に取り組んでいます。販売店の自己評価から地域全体のKPIまで、一連のサイクルを1つのアプリで運用する構想です。既存の認定エンジンはそのまま活用するため、移行に伴うコストとリスクを抑えられます。
販売店の自己評価
モバイル対応のチェックリスト。写真による証跡、下書き保存、四半期ごとの自動タグ付けに対応します。
確認と承認
ディストリビューターによる確認・差し戻しと地域統括会社の承認を、すべて操作記録に残します。
認定と可視化
認定証は既存のエンジンで発行。データはPower BIの地域KPIダッシュボードに連携します。
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